先日ご紹介した、「ドア・イン・ザ・フェイス」と対照的な交渉方法として使える心理学に「フット・イン・ザ・ドア」というテクニックがあります。「ドア・イン・ザ・フェイス」と同様に、「フット・イン・ザ・ドア」もマーケティングなど、ビジネスで使われる事が多いですが、恋愛などの人間関係にも非常に役に立ちます。
今日は、その「フット・イン・ザ・ドア」についてご説明します♪
目次
フット・イン・ザ・ドアとは?
フット・イン・ザ・ドアの由来
これは「足を入れることができたら勝ち」と言う、セールスマンの言葉から来ているものです。セールスマンが、営業のために訪問した先でドアを閉められないように、片足を入れておいて、そこから商談を始めるという動作に由来しています。
これは、お願い事や交渉時に、相手に承諾してもらいやすい小さい要求から、徐々に大きなものへ移し、ステップアップさせていき最終的に本来の要求を承諾してもらう様に導いていくテクニックで、段階的要請法ともよばれています。
私達は、一つのことを承諾してしまうと、その後の要求についても断りづらくなってしまう心理が働くものです。また、一貫性のある行動をしたいという欲求も持っている事も理由にあげられます。
フット・イン・ザ・ドアの実験
1966年にアメリカ・カリフォルニアで行われた実験で示されたものです。
住民の家を訪問し、安全運転を促す大きな看板を家の庭に立ててもらえるようにお願いをしました。景観を損ねるものになりかねないため、予想通り受け入れてもらうことができず、17%未満の承諾率でした。
ところが、同じお願いをする2週間前に同様な内容の小さなステッカーを車の窓に貼ってもらえるようにお願いをしたところ、家の庭に看板を立ててもらうというお願いを聞いてもらえた割合が76%にもなったのです。
フット・イン・ザ・ドアで注意すること
1、最初の小さなお願いと、次の本来のお願いとの差が大きくなりすぎないようにする。
実際にある調査では、大きな差がある要求をした際に失敗したという結果も出ています。
2、最初の要求の時に、金銭的な報酬をその見返りとしない
これは、親切心で承諾してくれた人にとって、自尊心を傷つけることになりかねないからです。また、買収のように、あまり良くない印象を受ける可能性もあります。
3、要求を段階的に分けてステップアップさせる
要求に差がある場合、失敗する確率が高くなります。
そのため段階を分けて、少しずつ本来のお願いに近づけていくことで聞き入れてもらいやすくなります。
フット・イン・ザ・ドアの状況別の活用例
よくあるパターンとしてお買い物の例があります。
買うつもりがなかったのに、試着(一つ目の要求)を勧められ、何度か断り続けて、それならと試着だけのつもりが、最終的に買うことになってしまった…パターンなど。
フット・イン・ザ・ドアの活用例
職場では…
仕事を手伝って欲しいとき、残業をお願いしたい時など
30分だけ手伝ってもらえない? → いいですよ
あ、やっぱり40分くらいでもいい? → いいですよ
(40分近くになったときに)1時間位になりそうなんだけど… → いいですよ
と少しずつ、時間を伸ばしていくことで、OKしてもらいやすくなります。
恋愛では・・・
デートのお誘いをしたいけど、お断りされてしまいそう、そんな時に、有効です。
まずは簡単にOKしてくれそうな小さなお願いからスタートします。
例えば・・・
○○のCD持ってたら貸してくれない?→いいよ
今度、ライブがあるみたいだけど、一緒に行かない?→いいよ
といった感じです。
家庭では・・・
お買い物をお願いしたい時など
帰りに○○買ってきてくれない? → OK
ついでに、△△もお願いできる? → OK
あ、XXも必要なんだけど… → OK
いつの間にか、数が増えていますね(笑)
このように、フット・イン・ザ・ドアのテクニックも幅広く、使うことができます。
まとめ
1、小さなお願いから、本来の要求まで差がありあすぎないように要求を段階的に分けてステップアップさせる
2、最初の要求に対して、報酬として金銭を与えない
皆さんの職場での人間関係や、恋愛関係、友人関係、親子関係などを円滑にするお手伝いになればうれしいです